「うちの子には、まだまだ長生きしてほしい!」そう願うのは、ウサギを家族に持つ誰もが抱く想いではないでしょうか。しかし、その寿命は人間と比べると短いのが現実です。しかし日々のケアと愛情次第で、彼らの寿命を伸ばすことは十分に可能です。
この記事では、15歳以上を生きたウサギの飼い主さんへのインタビューを元に、ウサギの健康管理と長寿の秘訣を、具体的な方法と愛情ケアのポイントを交えて解説します。
ウサギの寿命と飼い主の願い
ウサギは「今」を大切に生きる動物です。そのため、人間が「長生きしてほしい」と願っても、それが彼らの行動と一致するとは限りません。例えば、我が家の「モカ」は、牧草よりもおやつが大好きで、ケージの隅をかじるのが日課でした。
このような行動は健康リスクにつながる可能性がありますが、それでも彼らの本能や楽しみを無視することはできません。だからこそ、「モカ」の好きなことを尊重しつつ、安全で健康的な環境作りに工夫を凝らしました。
長寿ウサギのための食事管理
長寿ウサギの飼い主さんたちから共通して聞かれる言葉は、「食事管理へのこだわり」です。
【15歳まで生きたウサギの飼い主さんの体験談】
我が家のホーランドロップ「ルナ」は食べ物に敏感で、小さいころから好き嫌いが激しい子でした。特に高齢になってからは柔らかい牧草(二番狩り)やふかふかしたペレットを好むようになり、その都度獣医さんと相談しながら調整しました。
また、一時期食欲が低下した際には、すりおろしたリンゴや香り高いハーブ(パセリやディル)を混ぜてみたところ、とてもよく食べてくれました。このように、その子に合った食事内容を見つけることが長寿につながる秘訣だと感じています。
そして牧草やペレットの摂取量、飲水量など毎日の食事量のチェックをし、食後の口周りの汚れなどを確認しました。食事量の減少や口周りの汚れは、不正咬合や消化器系の疾患のサインの可能性があるからです。
あの時、諦めずに色々試して本当によかったと思っています。

ウサギは一日絶食するだけで命に関わるため、異変を感じたらすぐに獣医師に相談しましょう。
ストレスフリーな環境作り
【ご長寿ウサギの飼い主さんの体験談】
ウサギにとってストレスは命に関わるほど重要な要素です。我が家では、「ポポ」という名前のウサギが特に音や環境変化に敏感でした。そのためケージは静かな部屋に移動し、中には隠れ家として布製トンネルとクッション付きスペースを用意しました。
また夏場にはエアコンで室温24℃前後を保ち、小さな保冷剤入りタオルも置いて涼しい環境作りに努めました。寒さには比較的強いみたいですが、冬の夜は、ケージに毛布を掛けたり、ウサギ用の暖房をケージに入れました。
一度模様替えした際、「ポポ」が落ち着かなくなった経験から、それ以降ケージ内レイアウト変更は最小限にしています。気持ちよさそうに目を細めている姿を見ると、とても安心します。
一日一度は部屋んぽをさせ、一緒に遊ぶのですが、過度なふれあいに気をつけて、「ポポ」のペースに合わせ、無理強いしないようにしました。ストレスをなくして少しでも長生きをしてもらいたいからです。
このような配慮で、「ポポ」は穏やかな日々を過ごしてくれました。
ウサギの気持ちを理解するコミュニケーション
【15歳まで生きたウサギの飼い主さんの体験談】
ウサギとの信頼関係は、小さな積み重ねから生まれます。我が家では、「ココア」というウサギが最初とても警戒心が強く、人間との距離感がありました。そこで無理に触れ合うことはせず、「ココア」が近づいてくれるまで待ちました。
毎日同じ時間に話しかけたり、お気に入りのおもちゃ(木製ボール)で遊んだりするうちに、「ココア」の方から寄ってきてくれるようになりました。特に部屋んぽ中、一緒に床に座り込むことで安心感を与えられたと思います。
このようなコミュニケーション方法で少しずつ絆が深まりました。心を開いてくれてからはウサギの習性を考え、ボディランゲージを学び、部屋んぽの時に一緒に遊んだり、マッサージをすると、歯をカチカチ鳴らし喜んでくれているのがよくわかりました。
高齢になってからは、まるで人間の老夫婦みたいに、お互いを尊重しあえる関係になれたと思っています。
安心して過ごせる環境をつくる
ウサギ、特に高齢のウサギにとって、安全で快適な生活環境は健康維持に不可欠です。
【15歳まで生きたウサギの飼い主さんの体験談】
うちの子は、10歳を過ぎたあたりから足腰が弱ってきたので、ケージの中をバリアフリーにしました。部屋全体の段差を解消し、スロープもつけました。床材も足裏に優しく、すべりにくい、クッション性のあるものに変えたり、いろいろしましたね。
もちろん温度・湿度管理、体調管理のサポートもしました。おかげで、15歳まで元気に過ごしてくれました。
高齢ウサギのケアと介護
【介護が必要になるサイン】
介護は、飼い主にとってもウサギにとっても大きな負担となります。しかし、最期まで愛情深くケアすることで、ウサギは安心して穏やかな時間を過ごせるはずです。
【15歳まで生きたウサギの飼い主さんの体験談】
高齢期になるとウサギごとに必要なケアは異なります。我が家では13歳になった「ミント」が足腰が弱まり、自力で毛づくろいや移動が難しくなりました。そのためケージ内には低いスロープや滑り止めマットを敷きました。
またトイレも段差なしタイプへ変更し、お世話しやすくしました。さらにブラシングや耳掃除など日常的なお手入れも欠かさず行いました。「ミント」が目を細めて気持ちよさそうにしている姿を見るたびに、大変さ以上に愛情深い時間だと感じました。
食事はふやかした牧草を細かく切ったり、ペレットやすりおろした野菜などを食べさせました。初めは嫌がって、食べる量が少なかったけれど、「偉いね、これだけ食べられたね」と声を掛けると、そのうち慣れて少しずつでも食べるようになりました。
だんだん十分な毛づくろいができなくなってくるので、ブラシングや耳のケアなどをしました。そんな時は気持ちよさそうに目をつぶっていました。まるで「ありがとう」と言っているように感じました。
ケージの中にはブランケットを敷き、身体に優しくしました。寝ていることが多くなってからは、時々体位を変えることもしました。
大変だったけれど、あの時、精一杯ケアできたことは、私にとってかけがえのない思い出です。そして、今まで癒してくれたお礼でもありました。

まとめ
ウサギの高齢期は、飼い主にとってもウサギにとっても、新たな挑戦となるかもしれません。しかし、愛情と知識を持ってケアすることで、彼らは穏やかで幸せな時間を過ごせるはずです。
この記事が、ウサギとの絆を深め、共に過ごす時間を豊かにするためのヒントになれば幸いです。
*ウサギは個体によって違い、このケースがすべてのウサギが同じとは限りません。
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