私がウサギを飼い始めて最初に驚いたのは、「牧草が主食」ということでした。ペレットはあくまで補助的な存在。けれど、日々の食事にちょっとした変化をつけてあげたいと考え、野菜や果物、野草を”おやつ”として与えるようになりました。ウサギが新しい食材に出会った時の反応は本当に個性豊かで、毎日が発見の連続です。
今回はウサギに与えていいもの、悪いものを詳しく紹介します。ただし、あくまで「おやつ」ということを忘れずに。おやつを食べ過ぎて肝心の牧草を食べる量が減ってしまわないように気を付けましょう。
1.ウサギに与えていい野菜
野菜は新鮮で水分が多く、香りや歯ごたえもあり、ウサギにとっては特別なおやつになります。野菜の音を立てて食べる姿は、見ている飼い主にも幸せな気持ちを与えてくれます。
1-1.よく食べるおすすめ野菜
たとえば、我が家の「らむね」は朝になると決まって小松菜をねだります。冷蔵庫から出したての葉を目の前に置くと、まず鼻でクンクン確認し、シャリッと音を立ててかじり始めます。その姿を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになりますし、ウサギにとって新鮮な野菜が日々の楽しみになっているのだと実感します。
特に好物の小松菜やパセリは、①食欲が落ちているときにもよく食べてくれますし、②粉薬を少し包んで投薬するときにも使えてとても助かっています。健康なうちからいくつか「好きな野菜」を見つけておくと、病気のときや老後の食事にも応用できて安心です。
1-2.子ウサギに慣れさせるコツ
ただし、「きなこ」は来たばかりのころ、生野菜を一口も食べませんでした。どうやら子ウサギ時代に野菜をまったく与えられていなかったようです。そこで、生後3ヶ月を過ぎた頃から少しずつ葉物を試していきました。
やがてレタスやキュウリなども抵抗なく食べるようになりました。やはり子どもの頃からいろいろな味に触れていた子の方が、生でも乾燥でも好き嫌いなく食べてくれる傾向があると実感しました。
1-3.毎日の野菜の与え方と、ちょっとした注意点(体験談)
わが家では、朝と夜の2回、2種類以上の野菜を少しずつ与えるようにしています。
というのも、昔「らむね」がまだ若かった頃、同じ野菜ばかりを与えていたら、糞の色が濃くなってしまい、栄養バランスが偏っているのが目に見えて分かったことがありました。
それからは、できるだけ毎日違う野菜を組み合わせてローテーションするようにしています。たとえば、朝はサラダ菜と薄切りのニンジン、夜はセロリとキャベツなど、香りや歯ごたえも変えて、ウサギも楽しめるようにしています。
「まろん」はシャキッとした音のする野菜が大好きで、セロリをあげると耳をピンと立てて、目を輝かせながら夢中で食べてくれます。その姿を見るたびに、こちらまで嬉しくなります。
果物や野菜100%のジュースも、ほんの少しだけ与えることがあります。でも、成分表示は必ず確認しています。
実は一度、「野菜エキス入り」と書かれたジュースを見つけて、「これなら大丈夫かな?」と思ったのですが、裏面に詳しい原材料が書いておらず、気になってメーカーに問い合わせたことがあります。
すると、玉ねぎ由来の成分が入っていたことがわかり、驚きました。その時、「野菜って書いてあっても安心できないんだ」と強く感じたのを覚えています。
それ以来、「心配しすぎくらいでちょうどいい」をモットーに、いつも安全を第一にしています。
1-4.安全な野菜リスト
Q.どんな野菜を選べばいいの?
A.その時の旬のものを!旬の野菜は香り高く、栄養価も豊富。新鮮で安価なものが手に入りやすいのも飼い主さんには嬉しい点です。ウサギに季節の変化を野菜で感じてもらいましょう。
Q.スプラウトは何の種類でもOK?
A.ブロッコリー、レッドキャベツはOK。アルファルファはウサギの状態に合わせて。マスタードやクレソンは刺激があるので避けた方がいいです。
Q.ベビーリーフは問題ない?
A.内容が確認できるならOK。からし菜が入っているものは避けて。
2.ウサギに与えていい野草・ハーブ
野生のウサギは、春になると野草や樹木の若葉を食べ、冬には食料が乏しくなるため木の皮までかじって命をつなぎます。そうした食生活の名残か、飼いうさぎも野草やハーブなど、自然の香りが強いものを好む傾向があるようです。
2-1.野草の魅力と香りの効果
実際、うちの「もこ」に牧草以外の何か特別なものを食べさせてあげたいと思って、最初に与えたのが乾燥タンポポの葉でした。封を開けた瞬間に香りがふわっと広がり、「もこ」もすぐに鼻をひくひくさせながら飛びついてきました。
普段よりも目を輝かせながらポリポリと食べていて、「ああ、こういう野性味のあるものが本能的に好きなんだな」と感じた瞬間でした。
今では生の野草や乾燥ハーブも、インターネットで手軽に購入できる時代になりました。私もよく乾燥カモミールやオオバコをまとめて注文し、日替わりで少量ずつ与えています。
2-2.野草を与えるときの注意点
ただし、注意しなければいけないのは、これらの野草は「野生のウサギが昔から食べていた」という事実があるだけで、その栄養成分やウサギの体に与える具体的な影響については、いまだに科学的に解明されていないという点です。
うちでは一度、あまり調べずに与えた野草でお腹を壊したことがあり、それ以来、「自然のもの=安全」とは限らないと反省しました。野草を与える際には、必ず安全性の高いものを選び、信頼できる販売元から購入するようにしています。
また、何か新しいものを与えるときは、ごく少量から試すように心がけています。
2-3.樹木の葉
- クワの葉 (落葉性の小高木で、実も与えられる。ハート形の葉っぱが特徴的。「クワ」は総称で、ヤマグワなどさまざまな種類がある)
- クズの葉 (つる性の多年草。葉の裏面には白い細かな毛が生えている。)
- カキの葉 (落葉性の小高木。葉の表面がツヤツヤとしているのが特徴。柿は実も与えられる。)
- ササの葉 (常緑または半落葉性の多年草。与える際は枯れていないものを。)
2-4.ウサギに与えて良い野草・ハーブリスト
(ハーブ類は大量に与えるのはNGです。ハーブ類の効能は人に対してのみ言われており、ウサギに対して同様の効果が期待できるわけではありません。)

2-5.自生野草を与えるときのチェックポイント
〇自生しているものを採取する場合~~必ず土地の管理者の許可を得ましょう。この種類の野草だと飼い主さんが責任を持って判断、同定できるもののみ与えましょう。
〇採取を控えた方がいい場所~~幹線道路のそば(排気ガスをたくさん吸い込んている可能性が高い)。犬などの動物の散歩ルート(ほかの動物の糞尿が付いている可能性が高い)
〇与える際の注意~~採取したものを与える際は、よくきれいに洗ってから与えましょう。与える際は一度に大量は控えましょう。毎日与えるのは避けましょう。妊娠中のウサギに与える際は、必ず獣医師に確認してから与えるようにしてください。
3.ウサギに与えてよい果物
甘いものが大好きな子にとって、果物はまさに“特別なおやつ”になります。うちの「まろん」もそうで、初めてりんごを与えたとき、目を丸くしてかじりつき、頬をモグモグと動かしながらじっくり味わっていた姿は今でも忘れられません。
そのときのシャリッという音や、口のまわりについた果汁をぺろりと舐める仕草が、なんとも愛おしく、私はしばらく見惚れてしまいました。
また、ある夏の日、冷蔵庫で冷やしたスイカを1mmほどにスライスして与えてみたことがありました。ほんの少しだけ差し出したのに、「まろん」は嬉しそうに食べ終わったあと、私の手をじっと見上げておかわりを待っていたのです。
その無言のアピールが可愛くて、思わず笑ってしまったのも今では良い思い出です。
3-1.できるだけ生の果物を
市販のウサギ用おやつにはドライフルーツが多く見られますが、加工されているぶん糖度が高く、日常的に与えるには少し心配です。私はできるだけ生の果物を薄くスライスして与えるようにしています。
水分も豊富なので、夏場の水分補給にもなりますし、自然な味や香りもウサギの好奇心を引き出してくれます。生のものが苦手な子には、まず果物からスタートして、慣れてきたら生野菜、生牧草へと少しずつ移行するのもひとつの方法です。
「もこ」の場合も、生野菜は警戒していましたが、大好きなバナナのにおいにつられて一口食べたことがきっかけで、他の生の食材にも少しずつ慣れていきました。
3-2.一緒に過ごす「おやつの時間」
旬の果物を、飼い主とウサギで少しずつ分け合うのは、私にとっても「まろん」との特別なひとときです。りんごやいちごを1~2mmの薄さにスライスして「どうぞ」と差し出すと、まろんはゆっくり鼻を近づけて、確かめるようにしてからパクッと食べます。
その姿が本当に可愛くて、私の方まで癒されてしまいます。与える量はごく少量で大丈夫です。毎日与えるなら、1~2枚程度に抑えるのが安心です。与えすぎるとお腹を壊したり、糖分過多になることがあるので注意が必要です。
一緒に過ごす「おやつの時間」は、ウサギとの絆を深める大切な瞬間にもなります。体に優しく、心も満たされる“自然のごほうび”として、果物をうまく取り入れてあげてください。
3-3.安全な果物リスト

3-4.ドライフルーツの注意点
硬いドライフルーツは要注意!
パイナップルを芯ごとスライスして乾燥させたものはNG。芯は硬くて消化しきれず、小腸を詰まらせてしまい、開腹手術まで至ることがあります。イチジクやナツメの皮をドライにしたものも消化できずにおなかを詰まらせてしまうことがあります。
ドライは手でちぎれる硬さのものを
ウサギは歯が丈夫なので、なんでも食べることができてしまいます。しかし、歯でかみちぎったり飲み込めたとしても、肝心の消化ができないことも。ドライは必ず「手でちぎれる硬さ」を目安にしましょう。
4.与えてはいけない食べ物
ここまで紹介した野菜・野草・ハーブ・果物は、少量であればウサギにとって楽しいごちそうになります。ただし、どんなに安全とされている食材でも、大量に与えるのはNGです。
私が一度失敗したのは、ニンジンを「少し多め」に与えてしまったときです。本人は嬉しそうに食べていましたが、その夜は盲腸便を残し、お腹が張って元気がなくなってしまいました。翌日には回復したものの、「ウサギにとっての適量は人間の感覚とは違う」と強く感じました。それ以来、どんなに喜んで食べても”ほんの少し”を心掛けています。
4-1.人間の食べ物がNGな理由
また、紹介したもの以外の野菜や果物は基本的に避けるようにしましょう。一度、家族が「アボカドは体に良いから」とウサギに与えそうになったことがありました。しかし、アボカドに含まれる成分はウサギにとって非常に危険です。
また、タマネギやニンニクなどのネギ類も絶対にNG。人間の健康食材がウサギには毒になることもあるので、必ず事前に調べてから与えるようにしています。
私も最初のころは、「これは大丈夫かな?」と疑問に思ったときにはすぐに調べるようにしていましたが、慣れてくると油断してしまいがちです。今でも新しいものを与える前には必ず成分や危険性を再確認しています。
そして何より注意が必要なのが、人間の食べ物を与えること。ウサギは私たちと体のつくりがまったく違うということを、家族全員が理解しておくことが本当に大切です。
体に合わない食事は、ウサギの命を脅かします。
どれほど欲しがっても、それがウサギのためにならないなら「与えない勇気」を持つことも、飼い主の大事な役目です。
4-2.中毒のリスクがある食材

5.まとめ:健康と長生きのために、正しいおやつ習慣を
私自身、ウサギとの生活を通して「安全第一」の大切さを何度も実感してきました。おやつタイムはウサギとの信頼関係を深める大切な時間です。大切な家族の一員として、これからも、愛ウサギの健康と長生きを願い、正しい知識と経験をもとにおやつ習慣を続けていきたいと思います。
参考 「うさぎのヒミツ」樋口悦子(ウサギ専門クリニック)監修
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