突然の体調不良で獣医さんから処方された薬。「これくらい簡単に飲ませられるだろう」と軽く考えていた私。しかし、帰宅してからの現実は甘くありませんでした。愛兎「きなこ」は薬を全力で拒否。そこから始まった試行錯誤の日々…。
今回は、私が経験したリアルなエピソードとともに、ウサギとの信頼関係を深めながら投薬の成功方法をご紹介します。
まるでアクション映画!初日からの大混乱
あの日、病院で言われた「きなこちゃんにお薬出しておきますね」の一言。まさかそれが、日々の苦悩の始まりになるとは…。
病院から帰って、「きなこ、お薬だよ」といつものように抱っこしようとした瞬間、彼女はまるで別ウサギになったかのようでした。それまで甘えんぼうだった「きなこ」が、一目散にケージの隅へ逃げ込み、怯えた目でこちらを見つめます。
さらにシリンジを見せた途端、大暴れ!低いうなり声を出し、決して口を開けようとしません。小さな体とは思えない力で抵抗され、「これは一筋縄ではいかないぞ」と痛感しました。
甘く見ていた私と、鋭すぎる嗅覚の持ち主
インターネットで「ウサギ 薬 飲ませ方」と検索すると、「好きなおやつに混ぜるといい」「シリンジを優しく使って」など、たくさんの方法が出てきます。
最初は「好きなおやつならごまかせるだろう」と安易に考え、大好物の乾燥パパイヤに液体薬を染み込ませました。しかし、一口食べた瞬間、「こんなの食べられない!」と言わんばかりの顔。そして、それ以降パパイヤ自体も拒否されてしまいました…。
次なる作戦は、ニンジンペーストとのミックス。しかし嗅覚抜群の「きなこ」には通用せず、一瞬鼻先を近づけただけですぐ避けられました。この時「ウサギ相手にはごまかしは通じない」と悟りました。
「もうこうなったら強行突破だ!」と、シリンジで直接与えようとするも、「きなこ」の抵抗はすさまじく、暴れて私の手をガブリ。薬は床に飛び散り、私は半泣き。
さらに、獣医さんから「バスタオルで包んで落ち着かせると良いですよ」と言われ、試したところ……。包んだ瞬間、きなこは悲鳴を上げて大暴れ。まるで恐怖に包まれたように震えてしまい、投薬どころではありません。
暗闇に差し込んだ、獣医さんの一言
「どうしてこんなにうまくいかないんだろう……」と落ち込んでいたある日、再診のために病院へ。
そこで獣医さんが、穏やかな声でこう言ってくれたのです。

焦らなくて大丈夫。まずは、きなこちゃんが安心できる体勢を見つけて、少しずつ慣らしていきましょう。無理に飲ませようとせず、ゆっくりでいいんですよ。
この言葉に、肩の力が抜けました。私は、薬を飲ませることばかりに気を取られて、「きなこの気持ち」を全く考えていなかったことに気づかされたのです。
発見!きなこが安心する“やすらぎのポーズ”
獣医さんから「まずは安心できる姿勢を探してみて」とアドバイスされてからは、とにかく試行錯誤の日々でした。ある日、お腹側が見えるように仰向け抱っこに挑戦すると、不思議ときなこの目が細まり、その場でじっとする姿が。
「これだ!」と思い、そのポーズでシリンジ投与を試みたところ、暴れることなく飲んでくれました。この発見は大きな転機となりました。もちろん、警戒はしていましたが、徐々にシリンジの存在にも慣れていきました。
薬にほんの少しフルーツフレーバーを加えてもらい、投与量も数滴からスタート。焦らず、飲み込むのを確認して、少しずつ進めていく――。この“ゆっくり、優しく”というペースが、きなこにはぴったりだったのです。
我が家流「やすらぎ投薬」ルーティンの作り方
こうして、我が家ではきなこのストレスを最小限に抑えた「やすらぎ投薬」のルーティンが確立されました。
薬のタイプ別!投薬アレンジ術
薬にはいろんなタイプがあり、それぞれに工夫が必要です。私たちが試してうまくいった方法を、タイプ別に紹介します。
液体薬 | 苦味が強い場合、フルーツ味の液体を少し混ぜると◎。 |
粉末薬 | 水で溶いてペーストにし、普段食べているおやつに混ぜると食べやすくなります。 |
錠剤薬 | そのままはNG。砕いて粉末にして、液体と混ぜてシリンジで与えています。 |
投薬が教えてくれた、かけがえのないこと
この経験を通して、私はひとつ大切なことを学びました。

ウサギに薬を飲ませること=信頼を深めるチャンスでもあります。
無理やりではなく、「どうしたらこの子が安心して薬を飲んでくれるか?」を一緒に考えていくことで、「きなこ」との絆は以前よりもずっと強くなったと感じています。
今では、「きなこ」も薬の時間になると、自分から抱っこされに来ることもあります(もちろん機嫌が悪い日は拒否されますが、それもまた愛しい)。
まとめ:ウサギの気持ちに寄り添いながら、一歩ずつ
ウサギに薬を飲ませるのは、本当に大変。でも、それはウサギにとっても同じこと。しかし、お互い歩み寄りながら工夫することで、新しい信頼関係も築けます。一歩ずつ焦らず進むことで、”安心投薬”への道は必ず開けます。
今、愛兎の投薬に悩んでいる方へ。どうか自分を責めず、ウサギと一緒に一歩ずつ歩んでください。この体験が、少しでもお役に立てれば幸いです。
【重要なご注意】
この記事は、私と愛兎「きなこ」の体験に基づいたものです。ウサギには個性があり、同じ方法がすべての子に合うとは限りません。必ず、かかりつけの獣医師に相談し、適切な指導のもとで投薬を行ってください。
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