「ウサギの健康管理は難しい」とペットショップの店員さんに言われたのが、私が初めて「ぷりん」と「ちょこ」を迎えた日のことでした。実際に暮らしてみて、特に消化器のトラブルがどれほどウサギにとって重大か、身をもって知ることになりました。
本記事では、私自身が経験したリアルなエピソードを交えながら、ウサギの消化器官の仕組みとケアのコツを詳しくお伝えします。
1.ウサギの消化器官はとっても特殊!
ウサギは草食動物ですが、ただの草食動物ではありません。自然界では繊維質の多い植物を主食としているため、独特な消化の仕組みを持っています。
主な流れは以下の通りです:
- 口:一生伸び続ける歯で牧草をしっかり咀嚼
- 食道 → 胃 → 小腸
- 盲腸:発酵によって栄養を分解・吸収
- 食糞(盲腸糞を食べる)で再び栄養を吸収
この「盲腸糞(もうちょうふん)」が、ウサギの健康を支える最大の秘密です!
【体験談①】初めて知った「食糞」という行動
私が初めてウサギを飼い始めたのは、もう10年以上前のこと。見るものすべてが新鮮で、ケージの扉を開けるたびにぴょんぴょんと飛び出してくる彼女たちに、毎日癒されていました。
ところが、ある日、ケージの掃除中にふと目をやると、「ぷりん」が床に落ちていた糞を口にしているではありませんか!「え!?どうして食べちゃうの!?病気?栄養足りてないの?」と大慌てでスマホを手に取り、夢中で検索したのを今でも覚えています。
ネットで調べて初めて「盲腸糞」と言う言葉を知りました。実際に「ぷりん」が食べていたのは、普通の丸いコロコロではなく、ブドウの房のように柔らかくて独特な匂いのする糞でした。最初は驚きましたが、獣医さんに「これは健康な証拠ですよ」と教えてもらい、安心したのを覚えています。
それを知ったとき、「なんてよくできた体の仕組みなんだろう!」と思うと同時に、ウサギの消化器官ってとても複雑で繊細なんだなということに初めて気づかされました。この行動を知ってからは、盲腸糞を見かけない=元気な証拠と受け止められるようになりました。今では盲腸糞をきちんと食べているか毎日チェックするのが日課になりました。
2.「盲腸糞」がうまくできないとどうなる?
ウサギは盲腸糞を作り、それを食べることで必要な栄養を得ています。
ですが、体調が悪いとこのサイクルが崩れてしまいます。
【体験談②】盲腸糞が残り、はじめて気づいた体調の変化
ある日、いつも清潔に保っていた「ぷりん」のケージを掃除しようとしたとき、思わぬ異変に気付きました。いつもと同じように盲腸糞を食べているはずなのに、ケージの中に盲腸糞がベタベタと付いているのです。
しかも、「ぷりん」はその盲腸糞を食べた様子が全くない。私は驚きとともにすぐに「これはおかしい」と感じ、慌ててかかりつけの動物病院に電話をかけました。
動物病院に到着し、獣医さんに「ぷりん」の状態を詳しく伝えたところ、診断は「軽いうっ滞」。これは、ウサギの消化器官に負担がかかり、腸の動きが鈍くなる状態のことです。どうやら、気温差が原因で「ぷりん」のお腹にガスが溜まり、腸が張ってしまったことが原因だったのです。

うっ滞は軽い段階であればすぐに回復するので、今のうちに対処しましょう。
と獣医さんに言われ、私は少し安心しました。しばらくは食欲がなく、元気もなさそうだった「ぷりん」も、数日後にはまた元気を取り戻し、ケージ内もきれいに保たれるようになりました。
この経験を通して、私は「盲腸糞の残り方=健康のバロメーター」だということを痛感しました。普段はあんなに食べていた盲腸糞を食べなくなる、またはお腹に異常があって残っているということは、何かしら体調に変化があるサインであることを実感しました。
また、普段からケージ内の清潔を保つことがどれほど大切かも、この出来事で改めて感じました。ウサギは体調が悪くなると、自分でそのサインを隠すことが多いため、飼い主としては細かく観察することが不可欠だと痛感しました。
その後、私は「ぷりん」の体調に合わせた食事やケアを見直し、気温管理やストレスを減らす工夫を行いました。おかげで、「ぷりん」は再び元気を取り戻し、健康に過ごしています。この体験がなければ、盲腸糞の重要性に気づくこともなかったかもしれません。
【体験談③】水分不足で消化器トラブルに
冬になると水を飲む量が減る「ちょこ」。毎年、冬の寒さが本格的に始まると、どうしてもお腹の動きが鈍くなりがちです。特に室温が下がった夜になると、次の日には「うっ滞」のサインが出ることが多くなり、私も注意深く見守っていました。
ある年の冬、朝になってケージを確認すると、ちょこの糞が極端に減っていることに気づきました。いつもなら、元気よく食べているはずの盲腸糞がほとんど残っているという状況。
すぐに体調を心配し、獣医さんに連絡しました。診断は「軽いうっ滞」でしたが、やはり寒さと水分不足が原因だったと指摘されました。その時、私は改めて「寒さがウサギに与える影響」を痛感し、できるだけ早く対策を取る必要があると感じました。
そこで、「ちょこ」が冬でも健康を保てるよう、次の対策を取り入れました:
これらの対策を続けることで、「ちょこ」は自分から水を飲む量が増え、うっ滞の兆候も減っていきました。特に、夜間の室温が下がるときに注意深くこれらのケアをすることで、毎朝元気な糞を確認できるようになり、私も安心できました。
また、冬の寒さだけでなく、季節の変わり目にウサギは体調を崩しやすいことを実感したので、今では温度管理や水分補給に一層気を使うようになりました。ちょこが健康で元気に過ごしていることが、私にとって何よりの安心です。
3.「うっ滞」ってなに?放置は厳禁!
私が一番肝を冷やしたのは、先ほど書いた「うっ滞」です。普段から糞の状態や食欲を細かく観察する大切さを痛感しました。
うっ滞の主な原因
- 牧草を食べない(繊維不足)
- ストレス(引越し、来客、大きな音など)
- 水分不足
- 運動不足
症状
- 食欲がない
- 糞が出ない or 少ない
- お腹を丸めて動かない
- 歯ぎしりのような音を出す

【体験談④】旅行帰りにうっ滞を経験
あるとき、私は1泊の旅行に出かけることになり、「ちょこ」をペットホテルに預けました。旅行から帰宅して、最初に感じたのは、普段なら元気に飛び跳ねているはずの「ちょこ」が、ケージの中でほとんど動かず、じっとしていることでした。
さらに、糞がわずかしか出ていないのを見て、心配が募りました。すぐにケージを見渡し、普段と違う様子に気づいた瞬間、何かおかしいと思いました。
急いでかかりつけの病院に連れて行くと、診断は「うっ滞」でした。獣医さんの話によると、

原因は私が旅行で家を空けたことによるストレスが大きいとのことでした。ちょこは、普段の生活とは違う環境に置かれると、かなり敏感に反応するタイプだと教えてもらいました。
ペットホテルに預けた事自体は問題なかったものの、いつもの私の存在がないことで、ちょこはかなりのストレスを感じていたようです。
あまりにも心配になり

旅行や長期間家を空けることがちょこにとって負担にならないですか
?

うさぎは非常に環境の変化に敏感な動物で、飼い主の不在や普段と違う環境に置かれると、食欲不振や消化不良はストレスが原因で引き起こされることが多いです。
と言われました。思い返せば、旅行前から「ちょこ」の食事量や糞の出具合が少し減っていたような気もしました。
早めに気づき、すぐに治療を受けたことで、数日で回復しました。しかし、この一件がきっかけとなり、「ちょこ」にとって旅行や長期間の不在がどれだけ負担になっているのかを深く考えるようになりました。
それ以来、なるべく旅行を控えるようにし、もし外出が必要な時は、家族に面倒を頼むことにしています。
この経験から、ウサギは思っている以上に繊細で、環境の変化に敏感だということを痛感しました。飼い主が出かけるとき、どれだけ準備をしてもウサギにとっては大きなストレスになることもあるので、今後は常にその点に留意していきたいと思います。
4.消化器を守るためのポイント
うさぎの健康を守るには、日々の生活環境の見直しが大切です。
① 毎日たっぷり牧草を
うさぎの主食は牧草。特に繊維の多い「一番刈りチモシー」が理想です。
【体験談⑤】チモシー嫌いとの戦い
2羽目の「ちょこ」は、とにかくチモシーが嫌いな子でした。
ブランドを変えてもダメ、香り付きにしてもダメ。
そこで、ペレットを減らし、牧草で遊べるおもちゃに入れてみたところ、少しずつ食べるように!
最終的にはお気に入りのブランドを見つけて、1日50g以上食べるまでに成長しました。
② 運動と水分補給を忘れずに
- 部屋んぽで1日2時間以上は運動
- 水は新鮮で冷たすぎないように
- 野菜はあくまで補助。与えすぎ注意!
5.ウサギの消化器官は「命の要」
うさぎの体はとても繊細です。特に消化器の不調は、わずかな変化が命取りになります。でも、日々の観察と知識があれば、防げるトラブルもたくさんあります。
毎朝ケージを開ける時、「今日はぷりんとちょこがどんな糞をしているかな?」とワクワクしながらチェックしています。糞の形や量、盲腸糞の有無はもちろん、牧草をしっかり食べているか、水を飲む量は減っていないかも必ず確認。この朝の5分のチェックが、うさぎの命を守る鍵になるのです。
まとめ
- うさぎの消化器官は「盲腸糞」と「食糞」がカギ
- うっ滞は早めの発見・早めの対処が重要
- 牧草・水・運動・ストレス管理で健康を守ろう
- 日々の観察が一番の予防策!
あなたとウサギさんの暮らしが、健康で幸せなものでありますように。
「消化器の秘密」を知ることが、その第一歩になります!
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